税務調査官の質問内容と意図

みなさんこんにちは。福岡相続対策センタ－の中野です。

税務調査官がよくする質問とその質問の意図について解説します。世間話をしながらさり
げなく聞いてくる場合もありますので注意してください。質問の意図を理解し、どのよう
に回答するべきか、税務調査前に税理士に確認しておくことをお勧めします。

■Q1．部屋の間取りと故人の部屋の有無について教えてください。
　　　　通帳や取引明細等の書類がある場所を確認するための質問です。
■Q2．故人はどのようなお仕事をされていらっしゃったのですか？
　　　故人の生前の収入を把握し、退職金の有無や使い道について確認するための質問です。
■Q3．あなた（相続人）はどのようなお仕事をされているのですか？
　　　　相続人の収入を把握し、名義預金や名義株がないか確認するための質問です。相続人名義の通帳に、相続人の収入では貯めることが難しいほどの金額が入っていた場合、名義預金ではないかと疑われる可能性があります。
■Q4．過去に住んでいた場所といつ引越しをされたのか教えてください。
　　　　過去に住んでいた場所の近くに不動産や銀行口座がないか確認するための質問です。
■Q5．病気で亡くなられた場合は発病から死亡までの経緯について教えてください。
　　　発病後に預金の引き出しや生前贈与などの対策をしていないか確認するための質問です。故人がお金を使える状況ではなかったにもかかわらず、多額の引き出しがあった場合、「引き出したお金はどうしたのか」、「相続人がお金を受け取っていないか」と追求されます。
■Q6．亡くなる前のお金の管理はどうされていましたか？
　　　相続人が管理していなかったのであれば「故人が自分で管理していた」と回答してくだ
　　　さい。相続人が故人からの指示でお金を動かしていた場合は「本人の指示に従って家族
　　　が動いていた」と回答するのが良いと思います。相続人が管理していたのであれば素直
　　　に「私が代わりに管理していました」と答えてください。故人が意識不明の昏睡状態や
　　　認知症であったにもかかわらず、「故人が自分で管理していた」と回答するのは無理が　　　　あります。
■Q7．経済的な状況や1 ヵ月の生活費について教えてください。
　　　　通帳の履歴は全て調査されているため、通帳の1 ヵ月あたりの出金と1 ヵ月あたりの生活費に差がある場合は差額について追及されてしまいます。生活費を少なく回答してし　　　まう方がいらっしゃるのですが、生活費が多額の場合は素直に「お酒好き」、「よく人に　　　ご馳走する」など出費が多かったと回答してください。
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■Q8．故人から生活費としていくら受け取っていましたか？残ったお金はどうし
　　 てますか？
　　　　被相続人が奥様に生活費を渡し、奥様が残ったお金をへそくりとして貯めていた場合、 へそくりは故人の財産とみなされ、相続税が課税されます。奥様にお金を渡して相続税対　
　　　策をするのであれば、生活費とは別に贈与契約書を作成して贈与することをお勧めします。
■Q9． 生前に贈与を受けていたことがありますか？
　　　生前に贈与を受けていたにもかかわらず、贈与税を支払っていなかった場合は贈与税の追徴課税を受けます。しかし、安易に「贈与を受けたことはありません」と言い切るのもリスクがあります。名義預金について指摘された際に「それは名義預金ではなく、もらったお金です」と答えても、税務調査官から「先ほど贈与を受けたことはありませんと答えましたよね？」と突っ込まれてしまいます。生前に贈与を受けていたか聞かれた場合は「誕生日祝いなどで110 万円以下の金額を受け取ったことはあります」などの回答が無難でしょう。
■Q10. 通帳からの出金について詳しく教えてください。
　　　　引き出したお金を何に使ったのか確認するための質問です。なお、出金額が10 万円といった切りの良い数字ではなく、185,200 円といった端数である場合、税務調査官は「何か
　　　しら目的があって出金した」と判断し、使い道について追及します。内容が分からない
　　　場合は素直に「分からない」と回答してください。
■Q11. 医療費の支払いについて教えてください。
　　　　引き出したお金と医療費の差額を確認するための質問です。差額が大きい場合は何に使ったのか追求されます。
■Q12. 故人と相続人の預金の種類について教えてください。
　　　　計上漏れの財産がないか、名義預金がないか、確認するための質問です。
■Q13. 金庫はありますか？金庫がある場合は何が入っていますか？
　　　　金庫がある場合は金庫を開けて中を確認し、計上漏れの財産がないか確認します。また、貸金庫を持っている場合は貸金庫の中を確認し、場合によっては開閉記録を調べられます。
■Q14. お金やクレジットカードの管理は誰がおこなっていましたか？
　　　　相続人が「私が被相続人のお金やクレジットカードの管理をしていました」と答えると事細かに質問されてしまいます。「誰が管理していたか分からない」という回答に対して
　　　は税務調査官もそれ以上の追求が難しくなります。
■Q15. 子供が家を出たのはいつごろでしょうか？また、持ち家と賃貸のどちらで
　　　 すか？
　　　　故人から資金援助を受けていなかったか確認するための質問です。
■Q16. 土地の賃貸の状況について教えてください。
　　　　土地の賃貸の状況が申告内容と一致しているか確認するための質問です。一致していない場合は相続税の金額が変わる可能性が高いでしょう。

■Q17. 故人の性格や趣味について教えてください。
　　　　故人が普段からお金を使うことが多かったのか確認するための質問です。ギャンブルなど遊び好きであれば税務調査上は好ましいです。お金遣いが荒ければ使途不明金を「ギャン
　　　ブルで使いました」と説明できます。一方、真面目な性格の場合は使途不明金の説明ができません。故人が遊び好きであった場合は素直に「遊び好きでした」と回答しましょう。
■Q18. 故人に特殊関係人（愛人のこと）や隠し子はいないでしょうか？
　　　不明な出金が多い場合、愛人や隠し子の存在を確認される場合があります。
■Q19. 故人の日記や手帳はありますか？
　　　　日記や手帳を見ると故人の行動パターンがわかり、お金をどのように使っていたか推測できます。日記や手帳があると回答した場合、「見せてください」と言われ、細かく追
　　　及されてしまいますので、日記や手帳がない場合は「ありません」と回答してください。
■Q20. ハンコの印影について確認させていただいてもよろしいでしょうか？
　　　　朱肉を押す前に1 回、朱肉を押した後に2 回押印し、印影を確認します。印影を確認する目的は使用頻度を確認するためです。朱肉が残っている場合は直近に何に使用したの
　　　か追求されます。事前に全てふき取っておくことをお勧めします。
■Q21. 相続税はどのように納めましたか？
　　　　子供の分を母親が代わりに支払っている場合は贈与税を指摘されます。母親が相続税を全額支払っている場合は「母親に立て替えてもらっていますが、後からその分を返す意
　　　思があります」と答えてください。
■Q22. 質疑応答記録書に署名押印していただけますか？
　　　　質疑応答記録書とは税務調査官と相続人のやり取りを記録した書面です。法定書類ではありませんので署名押印しなければならない法的根拠はありません。質問応答記録書がある
　　　と不利になる場合がありますので、基本的には署名押印しない方が良いでしょう。