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「評価単位の注意点」

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「評価単位の注意点」

「評価単位の注意点」

2023/03/31

みなさんこんにちは。福岡相続対策センタ-の中野です。

相続税の財産評価問題になる土地の評価について、基本的なところですが疑義が大きい点が評価単位です。
以下の通り、利用単位の評価となりますが、取得者ごと、そして制限される権利の種類ごと、という点も注意する必要があります。

TAINS 相続事例東地会020115
東京地方税理士会税務相談事例Q&A0115 相続税 財産評価 宅地の評価単位

【東京地方理士会ホームページ(会員専用ページ)平成29年9月掲載】

宅地の評価単位                            
〔平成29年9月現在法令〕
【質問】
被相続人の所有地であった宅地に自宅、貸家及び貸地があり、相続人である配偶者がその敷地の全部を取得した。この宅地の評価単位はどのように判定するか。
【回答】
相続税の課税財産は、財産は評価単位ごとに評価することとなっています。例えば、宅地は利用単位となっている1区画の宅地ごと、家屋は1棟の家屋ごと、株式は銘柄の異なるごとにそれぞれ評価します。
宅地の評価単位は、1画地の宅地ごとに評価することとされ、この1画地の宅地とは、利用の単位となっている1区画の宅地をいいます。
ここに「利用の単位」とは、評価対象地に第三者の権利があるかどうか、つまり第三者の権利による制約を受けているかどうかにより区分した単位をいいます。
例えば、一筆の宅地に所有者本人が店舗と居宅を有している場合には、第三者による権利の制約がないので全体を評価単位とします。これに対して、一筆の宅地に4棟の貸家があり、それぞれを賃貸している場合には、その借家人ごとに権利制限を受けることになるため、それぞれの貸家の敷地が1評価単位となるというわけです。
この場合に注意したいのは、相続税が取得者課税であることを踏まえ、相続等により取得した宅地ごとにその判定を行うということです。
上記の一筆の宅地で店舗と居宅がある土地の全部を一人が取得した場合には全体が一つの評価単位、店舗と居宅の敷地を分筆して、店舗部分は長男、居宅部分を配偶者が取得した場合にはそれぞれの敷地が評価単位となります。
また、4棟の貸家の敷地を3人の相続人が取得し、そのうち2棟分を配偶者、残りの2棟を長男と長女がそれぞれ取得した場合において、配偶者が取得した貸家の敷地は借家人ごとに二つに区分して評価し、長男と長女がそれぞれ取得した貸家の敷地は、長男と長女がそれぞれを評価単位として評価することになります。
このような分割について注意したのは、現実の利用状況を無視した分割、分割後無道路地となる分割などのその合理が著しく不合理であると認められる分割の場合には、その分割前の画地を1画地の宅地として評価するとされる点です。

次に、複数の敷地に賃貸建物が建築されており、そのため複数の宅地が1評価単位となる場合には、その複数の敷地全体を1評価単位として評価し、その評価額をそれぞれの地積の割合により按分して評価します。

質問のケースについては、評価対象地である宅地をその利用区分である自宅部分、貸家部分及び貸地部分に区分し、その区分された評価単位ごとに整形地、不整形地、間口狭小、奥行長大などを確認して、自用地価額を算定し、貸家の敷地は「貸家建付地」、貸地は「貸宅地」として評価することとなります。
【東京地方税理士会 税法研究所提供】
注意したいのは、権利の制約の種類が異なるごとの評価になりますので、貸家建付地のサブリースのケースは、棟ごとの評価になるということです。一括貸ししているとは言え、それぞれの棟ごとに、借家権が異なるという整理と考えられます。
平成26年4月25日裁決(F0-3-401)
一般に、建物の賃借人は、建物の賃貸借契約の性質上当然に、当該建物使用目的の範囲内においてその敷地の利用権を有するものと解されるところ、所有する宅地の上に貸家が複数ある場合、各貸家の敷地に、各貸家の使用目的の範囲内において利用権がそれぞれ生じ、その利用権に基づき各貸家の敷地がそれぞれ利用されることとなるから、
貸家建付地(評価基本通達26)における1画地の宅地の判断に当たっては、評価の対象である宅地の上に存する建物(貸家)の建物賃借人の敷地利用権の及ぶ範囲を検討する必要がある。

宅地の所有者がその宅地の上に存する複数の貸家である建物を所有している場合において、当該各建物が外観からみて構造上それぞれ独立したものであるときには、母屋と離れのように当該各建物が一体で機能している特段の事情が認められる場合を除き、各建物の敷地部分をそれぞれ1画地の宅地と見るのが相当であると考えられる。
この利用単位ですが、一体利用されている複数筆の宅地は、一画地として評価されることになります。この点、以下の通り実質判断される事例がありますので、課税時期において一体利用が今後見込まれるのであれば、一画地で評価されることになります。

静岡地裁平成5年5月14日(Z195-7132)
贈与により取得した宅地の評価に際して、現在においては一体利用されていないとしても、近い将来それが見込まれ、かつその実現が確定的である場合には、一体利用が見込まれる他の筆の宅地をも併せた一画地の宅地についての評価を通じて、個別の宅地の評価をすることが相当であるとされた事例
本件評価土地は、本件贈与時において、空閑地として未だ一体的な利用がされていなかつたものの、近い将来それを一画地として駅前共同ビルの敷地として利用する計画が具体的に定まつており、かつ、本件評価土地を構成する各仮換地の地形や所在位置、右計画の進捗状況、各地権者の意識その他の事情に鑑みて、
その実現が確定的であると認められることができるから、本件評価土地は一画地の宅地と認定することが相当であり、本件評価土地の一部である本件土地の評価に当たつては、一画地評価の方法により行うべきであるとされた事例

なお、利用単位については、借地権などの権利関係はもちろん、外見上の判断も重視されるとされています。

静岡地裁平成19年7月12日判決(Z257-10752)
評価通達の定め及び課税実務上の取り扱いに照らせば、評価通達が定めるところの「利用の単位となっている1区画の宅地」であるか否かを判断するにあたっては、対象地の外観、利用状況及び権利関係等を総合的に斟酌してこれを行うことが相当である。
なぜなら、評価通達が定めるところの「利用の単位」を判断するにあたっては、対象地の利用状況あるいは権利関係が重要な要素となることはもちろんのこと、対象地の実際の利用実態を推認させる事情として、対象地の外観も重要な要素をなすものということができる上、前記の課税実務においても、
宅地上に設定された権利が使用借権かそれ以外の権利であるのかが1画地であるか否かを判断するにあたっての重要な要素とされてはいるものの、必ずしも、それのみが基準となっているものではないと認めることができるからである。
加えて、利用単位という位ですから、その利用に不可欠な道路などは、一体評価されるのが原則と考えられます。

東京地裁平成25年8月30日判決(Z263-12283)
本件南側通路は、認定事実のとおり、被相続人の自宅の住人が自宅の敷地に自動車で進入するために不可欠の通路であり、上記住人が自宅の敷地に徒歩で入る際にも通行のために利用されている通路であるから、被相続人の自宅の「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地」であると認めることができ、
評価通達7及び同(注)によれば、「宅地」の地目に当たるというべきである。そして、このような本件南側通路の利用の状況からすれば、本件A土地及び本件南側通路は、評価通達7-2にいう「一画地の宅地」として1個の評価単位とすべきである

その他、利用単位で評価すると言っても、不合理分割の場合にはその分割前の単位で評価することになります。この不合理分割について、以下とされた事例があります。
この点、現実の利用状況を踏まえているか、そして将来的に有効な土地利用ができないと認められるかどうか、この辺りを総合勘案して決定されると考えられます。

平成19年5月16日裁決(F0-3-234)
本件土地1の分割は、(1)現実の利用状況を無視した分割とは認められないこと、(2)将来においても有効な土地利用が図られず通常の用途に供することができない不合理な分割とは認められないこと、(3)請求人総代が取得した土地1の部分は、連たんする一団の宅地であるとともに、自由な使用収益を制約する他者の権利は存在しないところ、
その規模、形状、位置関係等からして、これを請求人ら主張のとおり区分して評価することとなると、本件更地部分について無道路地としての補正を行わなければならなくなるなど、実態に即した評価ができなくなると認めるのが相当であること及び(4)相続等により取得した土地は、
原則として取得者ごとにその取得した部分ごとに評価通達7-2の(1)に定める評価単位の判定を行うことが相当であることからすると、請求人ら及び原処分庁の主張はいずれも採用できず、本件土地1については、本件使用貸借部分とその余の請求人総代が取得した部分の土地の2画地に区分して評価するのが相当である。


 

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