養子縁組に関する税務上の論点
2023/08/18
みなさんこんは。福岡相続対策センタ-の中野です。
相続対策の提案に必ずと挙げられる「養子縁組」につき、税務上の実務論点を検証します。
1.節税目的の養子縁組の可否
相続税の節税目的のために養子縁組を実務上活用する場面が多いと考えられます。
2017年1月31日 最高裁第3小法廷にて「節税目的の養子縁組でも直ちに無効とはいえない」
との初判断を示しました。
ただし・・・相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合には、当該養子の数を
当該相続人の数に算入しないで相続税の課税価格及び相続税額を計算することができます(相法63)。
2.税務上の論点整理
【1】養子の数に関する算入制限(相法15-1、2:昭和63年度税制改正)
どのようなケースが「実子とみなすか」を理解しておくことは実務上必須となります。
また、相続税の計算上、養子が相続人の数に算入されることにより、相続税の節税効果が生じるのは、概ね以下5つとなります。
(1)遺産に係る基礎控除額の計算
(2)相続税の総額を計算する場合の累進税率の緩和
(3)生命保険金・退職手当金等の非課税限度額の計算
(4)未成年者控除・障害者控除
(5)相続の一代飛ばし
が挙げられる。
【2】相続税の2割加算制度の改正(相法18-2:平成15年度税制改正)
平成15年4月1日以後に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について孫養子に2割加算が適用されるようになりました。
ただし・・・代襲相続の場合には適用がありません。
【3】間接的な節税効果
養子縁組により直系卑属となるため、そこから副次的な効果が生ずる場面があります。
(1)教育資金一括贈与
(2)結婚・子育て資金一括贈与
ただし・・・これらの制度の実用は孫など当初から直系卑属に対して活用されることが多いため、
直系卑属でない者が直系卑属になって適用されるケースは実務的にはそれほど多くはない
と推察します。
(3)住宅取得等資金贈与
(4)相続時精算課税制度
(5)特例税率(暦年贈与)
などが挙げられます。
これらは直系卑属でない者が直系卑属に該当することで要件の1つをクリアしますが適用されるケースとしては長男の妻などが養女になるケースが適用可能性があると推察します。
また、養子縁組をせずに遺言を用いて財産を取得すると原因は「遺贈」となりますが、養子縁組後に相続により財産を取得すると原因は「相続」となります。
その結果として、
(6)登録免許税(2% → 0.4%)。
中野税理士法人 代表社員税理士 中野 洋市郎
父の代から、資産家を対象とした、相続対策として、不動産管理会社の設立や
数々の相続税の申告業務を通して、財産評価による評価削減、納税資金対策等
相続業務に深化した業務を行っている。
また、資産税業務に従事した国税OBも在籍しており、税理士法人として相続、贈与
、資産税等のご相談に応じています。
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